地方公務員?国家公務員?公務員転職の選択肢:あなたに最適な働き方を見つける

18252_地方公務員?国家公務員?公務員転職の選択肢:あなたに最適な働き方を見つける

地方公務員と国家公務員のどちらに転職するのかについては、キャリアアップやライフスタイルの変化を考える上で重要な選択肢です。地方公務員の安定性や地域への貢献、国家公務員の政策立案への関与など、それぞれの魅力がありますが、仕事内容、給与、キャリアパスなど異なる点も多く、どちらが自分に合っているか悩む方もいるでしょう。本記事では、地方公務員と国家公務員の仕事内容、待遇、キャリアパスを徹底比較し、あなたの価値観やライフプランに合った働き方を見つけるための情報を提供します。

1. 国家公務員と地方公務員:仕事内容とやりがいの違いを徹底比較

国家公務員と地方公務員は、どちらも公共の利益のために働くという共通点がありますが、仕事内容や対象とする範囲は大きく異なります。ここでは、それぞれの仕事内容とやりがいについて詳しく見ていきましょう。

国家公務員の仕事内容:国の未来を左右する政策立案

国家公務員の主な仕事は、国の政策立案、法案作成、予算編成など、国全体に関わる業務です。各省庁に所属し、それぞれの専門分野で政策を企画・立案・実行します。例えば、農林水産省であれば食料や環境に関する政策、財務省であれば財政政策、厚生労働省であれば社会保障政策といった具合です。
具体的な職種としては、総合職と一般職があります。

  • 国家総合職:政策立案の中枢を担い、将来の幹部候補として育成されます。政策の企画立案に深く関わりたい、国全体を動かす仕事がしたいという方に向いています。
  • 国家一般職:各省庁に所属し、事務処理や専門的な業務を担当し、政策の円滑な実施を支えます。正確な事務処理能力や、専門知識を活かしたい方におすすめです。

他にも専門職があり、財務、労働、裁判所など高い専門性が求められる特定の機関に所属します。

地方公務員の仕事内容:地域住民の生活を支える

地方公務員の主な仕事は、地域住民の生活に密着したサービス提供、地域活性化、インフラ整備など、地域社会に貢献する業務です。県庁職員、市役所職員、警察官、消防士など、様々な職種があります。

  • 都道府県庁職員:県の政策立案と実施を担います。地域の実情に合わせた政策を行い、地域の産業振興や観光振興も業務の範囲内です。
  • 市町村区役所職員:住民サービス提供、地域活性化を担います。住民票の発行や福祉サービスの提供なども行い、住民の声を直接聞ける機会が多いです。
  • 警察官:地域の治安維持。地域住民の安全を守ります。
  • 消防士:火災、災害への対応。人命救助に携われます。

【国家・地方別】仕事内容で見るやりがい

国家公務員は、国全体の政策に関わることで、より大きなスケールで社会に貢献できるというやりがいがあります。一方、地方公務員は、地域住民の生活に密着したサービスを提供することで、直接的な貢献を実感できるというやりがいがあります。どちらの道を選ぶかは、あなたの価値観やキャリアプランによって異なります。自身のスキルや経験、そして将来像を照らし合わせながら、検討してみましょう。

国家公務員

  • より大きな規模で社会に貢献できる点に魅力を感じる方:政策立案を通じて、国の未来を左右する仕事ができることに、やりがいを見出せるはずです。
  • 専門知識を活かしたい方:専門知識を国全体の課題解決に貢献できる点に魅力を感じるでしょう。

地方公務員

  • 感謝の声が身近な環境で働きたい方:地域住民の生活に直接貢献できる点に魅力を感じるでしょう。住民からの感謝の言葉が、日々の仕事の励みになるはずです。
  • 仕事と育児を両立させたい方:子育て支援制度が充実している自治体であれば、仕事と育児を両立しやすい点に魅力を感じるでしょう。Uターン転職で、家族との時間が増えることも期待できます。

2. 待遇徹底比較!給与、福利厚生、勤務地:国家公務員 vs 地方公務員

給与水準:年収例と給与体系の違い

国家公務員は日々国の運用にかかわる重大な働きをしていることもあり、一般的に国家公務員の給与水準は、地方公務員よりも高い傾向にあります。2024年度の調査では、国家公務員の平均年収が680万円、地方公務員の平均年収は660万円です。
また国家公務員と地方公務員の間には、給与体系のちがいがあります。

  • 年俸表:あらかじめ決めた年間の給与額を分割することで、毎月給与を支給します。ボーナスは元から年俸額に含まれていることが多いです。
  • 給料表:月ごとに基本給を定めておき、数カ月単位で給料の見直しを行います。ボーナスは基本的に別に支給されます。
  • 国家公務員の給与
    支給額=級×号俸
    • 級:役職
    • 号俸:勤続年数
  • 地方公務員の給与
    支給額=級×号給
    • 級:職務の複雑さや責任の重さ
    • 号給:級を細分化したもので、職務年数による習熟度を表す

なお地方公務員の給与は、各自治体の条例に基づいて支給されるため、同じレベルの職員が他の地域で同じ額を支給されているとは限りません。

福利厚生:住宅手当、休暇制度の比較

国家公務員と地方公務員の間に福利厚生の違いはほとんどありません。しかし国家公務員は統一された基準があるのに対し、地方公務員は自治体によって内容に細かな違いがあり、一概に全ての地方公務員が同じ福利厚生だとは言えません。
国家公務員と地方公務員は下記の点で違いがあります。

加入する共済組合

国家公務員は国家公務員共済組合に加入しますが、地方公務員は各都道府県・市町村区ごとの共済組合に加入します。どちらも基本的な医療・年金サービスを提供していますが、地方公務員が加入する共済組合によっては、サービス内容に若干のちがいがあります。

手当・福利厚生サービス

国家公務員は全国的に統一された基準のもと福利厚生制度が適用されますが、地方公務員は自治体ごとにわずかな差異があります。また国家公務員はサービスの範囲が全国的なのに対して、地方公務員は各地域に密着して提供されるサービスが充実している傾向にあります。

国家公務員も地方公務員も民間企業に比べて福利厚生の内容は充実していますが、地方公務員が所属する組織の特性上、自治体によって制度内容や指標に若干の違いがあるため、福利厚生の内容にも違いが生じます。

勤務地:転勤の頻度と範囲

転勤については国家公務員と地方公務員で明確な違いがあります。
国家公務員の場合
国家公務員は、職種によって事情が分かれます。

  • 国家公務員総合職:将来的な公官庁の幹部候補として採用されているため、ゼネラリストとして経験を積むために全国転勤がある場合があります。また転勤の頻度も高く、1年や2年ごとに転勤する場合もあります。
  • 国家公務員一般職:国家公務員の中でも事務処理のスペシャリストを目指すため、総合職よりも頻度は少ないです。また地方機関で採用された場合、そのエリア内で限定されるため転勤がないこともあります。

国家公務員の場合
基本的に全国転勤はありませんが、代わりに異動の頻度が高いです。異動の頻度は自治体によって異なりますが、1年で次の部署へ異動になる場合もあります。そのため異動に伴う勤務先の変更の可能性は高く、通勤が難しい場合は引っ越すこともあります。しかし異動もあくまで採用された自治体のエリア内なので、大規模な転勤は基本的に発生しません。

【国家・地方別】条件で見る向いている人

給与を重視するのか、福利厚生を重視するのか、勤務地を重視するのかによって、どちらの働き方が合っているかは異なります。自分の価値観やライフプランに合わせて、最適な選択肢を選びましょう。各省庁や自治体の採用情報を確認し、具体的な待遇について調べてみることをおすすめします。

国家公務員

  • 給与の高さを重視する方:国家公務員の方が給与水準が高い傾向にあります。
  • 仕事を通じて色々な土地に行きたい方:職種によりますが、基本的に国家公務員は転勤が多いです。

地方公務員

  • Uターン就職を希望する方:地方公務員は地域に密着して働くことができます。
  • 転勤したくない方:異動こそ多いものの基本的に転勤は発生しません。

3. キャリアパス徹底比較!昇進、異動、スキルアップ:国家公務員 vs 地方公務員

18252_キャリアパス徹底比較!昇進、異動、スキルアップ:国家公務員 vs 地方公務員

給与、福利厚生、勤務地は、仕事を選ぶ上で重要な要素です。国家公務員と地方公務員では、これらの待遇にどのような違いがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

昇進、スキルアップは、キャリアを考える上で重要な要素です。国家公務員と地方公務員では、これらのキャリアパスにどのような違いがあるのでしょうか。

昇進制度:スピード、役職のピラミッド構造

昇進のスピードは年収に直結しています。公務員は特に、職種や採用段階によってある程度昇進のスピードも決まってきます。

国家公務員

国家公務員の場合は、採用時に昇進の速さが決まります。具体的には、採用試験の種類と採用された機関によって昇進の速さが左右されます。ここでは昇進が特に速いケースを紹介します。

  • 国家公務員総合職に合格し、官庁に採用された場合
    5年で係長級、10年以内に課長補佐級、20年以内に本府省の管理職に昇進します。地方機関に出向する場合は、10年以内に出向先で管理職に昇進します。
  • 国家公務員一般職に合格し、霞が関の本府省に採用された場合
    4年から5年で主任級、8年から11年で係長級、16年から21年で課長補佐級に昇進できます。最終的に本府省の管理職になれる可能性はあるものの、そこまで高くはありません。また昇進のタイミングも総合職に比べて遅く、早くて30年ほどかかるといわれています。

地方公務員

地方公務員の場合は、昇任試験に合格できるかどうかによって昇進できるかどうかも決まります。なお昇任試験を受験する選択肢はあくまで各職員にあるため、自分の意思で決定することができます。昇任試験は何度も受験することができ、一般的には主任・係長・課長など役職ごとに試験が設けられています。
自治体によっては昇進にあたって試験が設けられていない役職もあります。

出向制度:キャリアチェンジ、経験の広がり

出向はキャリアの幅を広げる貴重なチャンスです。出向のチャンスは職種によって大きく左右されます。

国家公務員

特に国家公務員総合職の場合は、ゼネラリストとして多様な経験を積むために出向機会が多いです。出向先の候補も多く、他の本府省や本府省所管の出先機関、自治体、本府省と関係のある独立行政法人や民間企業など、行政の内外を問いません。

地方公務員

国家公務員に比べて出向の機会は多くありませんが、ゼロではありません。出向先の候補としては、他の自治体や民間企業、国のいずれかの機関などがあります。地方公務員は出向のチャンスが少ない分、将来のキャリアが期待される人材が出向の対象に選ばれる傾向にあります。

スキルアップ:研修制度、自己啓発支援制度

国家公務員

地方公務員と比べて研修制度が充実しています。研修には各省庁が携わり、キャリア段階や役職ごとに研修が整備されています。国家公務員の研修の特徴としては、自己負担なしに研修の一環として幅広い勉学をおさめることができる点です。

  • 大学院への派遣:「行政官長期在外研究員制度」「行政官国内研究員制度」という制度の一環で大学院で行われる研究に従事します。学費については支給されます。
  • 留学制度:外務省だけでなく各省庁で利用できる制度です。海外への研修派遣は長期と短期の二種類があり、主にアメリカやイギリスの大学院で研究に従事できます。

地方公務員

各自治体や都道府県の研修機関が研修に携わります。国家公務員と同様に役職やキャリアステップに応じて研修が用意されています。なお詳しい研修内容は各自治体にゆだねられているため、所属する自治体によって研修内容に違いがあります。

【国家・地方別】キャリア志向で見る向いている人

国家公務員

  • 早く昇進したい方:国家公務員の中でも職種によって差はありますが、地方公務員よりも早く昇進できる傾向にあります。
  • 充実した研修制度を受けたい方:国家公務員だと研修に携わる機関も多く、国家規模で研修予算もあてられるため、留学など幅広い学びを得られます。

国家公務員

  • 自分のペースでキャリアを考えたい方:地方公務員は、基本的に昇任試験によってキャリアアップが決まるため、自分のペースでキャリアを進めることができます。
  • 地域に根差した働き方をしたい方:地方公務員でも研修は十分に充実しており、出向のチャンスもあります。そうした経験を経て仕事を通じてえた学びを地域に還元したい方は地方公務員に向いています。

まとめ

国家公務員と地方公務員、それぞれの働き方にはメリット・デメリットがあります。本記事で紹介した情報をもとに、あなたの価値観、ライフプラン、キャリアプランを考慮し、どちらが自分に最適な選択肢かを見極めてください
転職を検討する際は、情報収集だけでなく、実際に説明会に参加したり、経験者に話を聞いたりすることも重要です。後悔のない選択をするために、しっかりと情報収集を行い、慎重に検討しましょう。

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