年齢制限、難易度…それでも公務員?転職を成功させるための全知識

年齢制限、難易度…それでも公務員?転職を成功させるための全知識

公務員への転職は、安定した職業として魅力的ですが、「年齢制限があるのでは?」「試験が難しそう…」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。特に30代、40代の方にとっては、家族を養いながら、限られた時間で試験勉強を両立できるのか、年齢が不利にならないかなど、多くの懸念があるはずです。

しかし、諦めるのはまだ早いです。
この記事では、年齢や難易度といった公務員へ転職するうえでの壁を乗り越え、理想のキャリアを実現するための情報をまとめました。年齢別の戦略、効果的な試験対策、民間企業での経験を活かす方法など、具体的な情報と事例を通して、あなたの不安を解消します。そのうえで公務員への転職を目指すかどうか検討してみてください。

1. 公務員転職の年齢制限:年齢は本当にハンデになる?

公務員試験には年齢制限が存在しますが、一律ではありません。国家公務員と地方公務員、そしてその中でも職種によってそれぞれ異なる年齢制限が設定されています。また、場合によっては年度によって、年齢制限が変動することもあります。まずは、ご自身が目指す職種の年齢制限を確認しましょう。

年齢制限は何のため?

結論から言うと、人材育成のためです。公務員は地方と国家の別なく、いずれも長期雇用を前提に採用されています。そのため年齢が若いうちに採用し、将来的なキャリアに向けて長期にわたり教育と経験を積む必要があるのです。
なお職種によっては、社会人としてある程度の年数をかけて積んだキャリアを評価されることもあり、年齢制限は各職種でまちまちになっています。

国家公務員

国家公務員の場合、試験が行われる機関は大きく分けて三つあります。行政を司る人事院、司法を司る裁判所、立法を司る立法府です。なお立法府とは衆議院・参議院のことを指します。

人事院

各省庁に携わる人員の選考を行っています。国家総合職や国家一般職をはじめ、各省庁の専門職員の採用まで幅広く担っていますが、ほとんどの職種の年齢制限は30歳が上限とされています。30歳以外の職種は少数で、法務省専門職員の年齢上限が40歳、障害者選考の上限が59歳となっています。

裁判所

裁判に携わる人員の選考を行っています。裁判所総合職、裁判所事務官、家裁調査官補、裁判所一般職などの職種を募集していますが、いずれも年齢上限は30歳とされています。

立法府(衆議院・参議院)

衆議院・参議院の運営に携わる人員の選考を行っています。他の機関とは異なり、各職種によって細かに年齢上限が定められています。

  • 30歳:衆議院総合職、衆議院一般職、衆議院法制局
  • 27歳:参議院総合職
  • 29歳:国立国会図書館職員
  • 64歳:国会議員、政策担当秘書

地方公務員

地方公務員の場合は、都道府県と市区町村の二つに分けて試験が行われます。なお年齢制限はいずれも各自治体によって異なり、同じ職種であったとしても異なる都道府県、市区町村でまちまちの年齢制限が設けられています。
年齢制限が低いところは25歳から、高いところは40歳ほどまでです。国家公務員に比べて幅広い職種で年齢幅も広く設けられており、その理由としては、民間企業での職務経験を重視する採用枠を設けていることが挙げられます。
地方公務員の年齢制限は、各自治体ごとに、場合によっては年度によって異なる場合もあるので、志望する自治体が決まったらまずはその自治体のホームページなどで確認しましょう。

公務員の転職を目指す第一歩

まず、最新の年齢制限の情報を確認しましょう。情報は、各自治体や官公庁の採用情報を直接確認するのが確実です。国家公務員を目指す場合は、人事院など選考を行う機関のホームページを確認しましょう。地方公務員の場合は、インターネットで「〇〇県(または市) 公務員 採用」といったキーワードで検索すれば、各自治体の最新の情報を入手できます。また、実際に窓口へ足を運び相談するのも有効な手段です。
年齢制限に不安がある方は、比較的年齢制限が高く設定されやすい、社会人採用の枠がないかも併せて確認しましょう。社会人採用であれば、年齢よりもこれまでの職務経験やスキルが重視されやすい傾向にあります。

2. 難関突破!公務員試験の難易度と年代別の対策

難関突破!公務員試験の難易度と年代別の対策

公務員試験の難易度は高いと言われています。国家公務員試験の合格率は数パーセントから十数パーセント程度と、非常に狭き門です。地方公務員試験も、自治体や職種によって異なりますが、同様に高い競争率となっています。
しかし、適切な対策を行えば合格する可能性を高めることができます。国家公務員も地方公務員も、試験内容をおおざっぱに分けると主に、能力試験と面接の二つになります。それぞれの対策方法を確認しましょう。

能力試験

公務員としてまず求められるのは、基礎的な学力の高さです。そのうえで職種によっては専門知識や資格を求められることもあります。また一口に基礎的といっても、募集職種によって難易度は大きく異なります。

基礎学力試験の分野

能力試験のうち基礎学力を測る試験では、文章理解・社会科学・人文科学・自然科学・数的処理の五つの要素から出題されます。幅広い知識が求められるため、苦手な分野を克服することが重要です。

専門学力試験の分野

専門性も問われる場合、行政系科目・経済系科目・法律系科目のうち応募した職種に関連深い分野から出題されます。

能力試験の勉強方法

公務員試験に向けた勉強方法の選択肢は豊富です。あなたの生活スタイルや費用面に合った方法で計画的に対策を進めましょう。育児や仕事で忙しい場合は、スキマ時間を活用した学習が重要です。通勤時間や昼休憩など、短い時間を有効活用することがポイントです。

  • 参考書で独学
    書店では、大手予備校などが出している参考書が多く取り扱われています。学校の勉強で使った教科書のように、参考書から知識を得るようなイメージで学習を進めましょう。
  • 講座の受講
    公務員試験対策の経験が豊富な講師による講座を受講することで、効率的にかつ計画的に学習を進めることができます。最近ではオンラインの講座もあるので、オンラインか対面か生活スタイルに合う方を選びましょう。なお講座は基本的に有料です。
  • アプリ
    公務員試験対策のアプリは、様々なものがリリースされています。スマホさえあればいつでも進められるので、隙間時間を有効活用したい方におすすめです。
  • 過去問集
    公務員試験対策を行ううえで必須です。一周だけ解くのではなく、何周も繰り返すことで出題傾向に慣れ、苦手な分野を把握することができます。

面接

公務員試験は、知識や専門性を問うことはもちろん、人柄も評価したうえで総合評価し採用を決定します。そのため、人柄を見ることができる面接は、どの職種でも必ず選考過程に含まれます。
基本的に個人面接ですが、職種や、地方公務員の場合は都道府県・市区町村によっては、グループ面接やグループディスカッションなど、異なる形式で行われることもあります。面接形式は事前に確認しておきましょう。

面接の対策

よく質問される内容を把握し、その質問に対する回答を準備しておきましょう。社会人経験がある場合は、実務経験のエピソードも交えて話すと即戦力としてアピールすることができます。以下のような質問が公務員試験でよく聞かれます。

  • なぜ公務員を目指すのか
    公務員の面接において必ずと言っていいほど聞かれる質問です。民間企業ではなく公務員を選んだ理由を問われるものなので、公務員だからこそできることを理由として伝えましょう。
  • なぜ応募した省庁あるいは自治体を志望するのか
    公務員として働く道は多くある中で、応募したその省庁あるいは自治体を選んだ理由を問う質問です。国家公務員の場合は応募した省庁の、地方公務員の場合は応募した自治体ならではのやりたいこと、できることを志望理由として述べましょう。
  • あなたの長所と短所を教えてください
    あなたの人柄や適性を把握するための質問です。主観的になりすぎず、友人や同僚から言われた情報など客観的な意見を交えて伝えましょう。
  • これまでに挫折したことはありますか。それをどのように乗り越えてきたのか教えてください
    挫折経験は、挫折した内容よりも、その後どのようにして挫折から立ち直ったかという点が重要です。挫折から立ち直る際の工夫を通じて、面接官はあなたの人柄や価値観を理解します。
  • 将来、公務員としてやってみたいことは何か
    将来のキャリアプランに関する質問は、公務員に対する意欲や覚悟を測る質問です。キャリアプランを具体的に話すことで、あなたの熱意と意欲の高さを十分に伝えることができます。

3. 年齢を強みに変える!年代・経験別の転職戦略と成功事例

公務員転職において、年齢上限さえクリアしていれば年齢は必ずしも不利な要素ではありません。民間企業で培ってきた経験やスキルは、公務員の仕事においても十分に活かすことができます。年齢を強みに変え、転職を成功させるための戦略と成功事例をご紹介します。

【30代】営業職から公務員転職に成功した事例

30代で公務員転職に成功したAさんの事例です。Aさんは、中小企業で営業職として10年以上働いていましたが、将来への不安から公務員への転職を決意しました。
Aさんは、これまでの営業職としての経験からアピールポイントを以下の三つにしぼりました。

  • コミュニケーション能力
    公務員はコミュニケーションをとる場面が多々あります。利用者とのコミュニケーションはもちろん、外部と連携する事業は多く、外部とのコミュニケーションにおいても活用できるスキルです。
  • 交渉力
    公務員は国や自治体、省庁などから与えられた仕事を定められた期日までに完遂する必要があります。そのため、外部と連携する際に、料金や納期の交渉を行う場面もでてきます。
  • ニーズ把握力
    住民の方々のニーズを的確に把握し、自治体や省庁の施策として最適なサービスを提供するうえで活かせるスキルです。

【40代】プロジェクトマネージャーから公務員転職に成功した事例

40代で公務員転職に成功したBさんの事例です。Bさんは、IT企業でプロジェクトマネージャーとして15年以上働いていましたが、ワークライフバランスを見直したいと考え、公務員への転職を決意しました。
Bさんは、年齢的に転職後、マネジメントを伴うポジションでの活躍が期待されます。これまでのプロジェクトマネジメント職の経験で培った以下の二つの強みをアピールしました。

  • 問題解決能力
    公務員は日々、様々な課題に直面します。マネジメントポジションであれば、自身が担当する課題だけでなく、部下の課題にも関わり、必要に応じてサポートを行うことも求められます。そのため高い問題解決能力が求められます。
  • リーダーシップ
    公務員におけるマネジメントポジションは、所属部署をけん引する存在です。それだけでなく、部下のサポートを行いつつ、今後長く働いていく礎となるキャリアステップに向けた教育も行います。リーダーシップ経験をアピールする際は、マネジメントした規模やその際のポジションも詳しく説明すると、説得力が増します。

年齢を強みに変えるポイント

これらの事例からわかるように、年齢を重ねていることはネガティブに働くばかりではありません。むしろ、それまでに経験してきたことがあるからこそ、実務経験や高いスキルをアピールでき、即戦力としては強みになります。転職先である公務員の職種を選ぶ際には、これまでの経験やスキルが活かせる分野を選ぶようにしましょう。
30代の方は、ポテンシャル採用も狙えます。ポテンシャル採用では、これまでの経験に加えて、公務員としての適性や成長意欲をアピールしましょう。

まとめ

公務員への転職は、年齢や難易度で諦めてしまいがちですが、決して不可能ではありません。年齢別の戦略と経験を活かす方法で、十分に成功可能です。この記事で紹介した具体的な対策と成功事例を参考に、ぜひ一歩踏み出してみてください。

年齢制限は、職種や自治体によって異なります。まずは、ご自身が目指す職種の年齢制限を確認しましょう。試験対策は、過去問を繰り返し解くことが最も効果的です。また、オンライン講座や通信講座も活用して、効率的に学習を進めましょう。

そして、何よりも大切なのは、諦めない気持ちです。「今からでも間に合う!」という強い意志を持って、挑戦し続けてください。あなたの経験は、必ず公務員の仕事で活かすことができます。一歩踏み出す勇気を持って、理想のキャリアを実現しましょう。

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